作業環境測定士試験とは?受験資格・科目・合格率・難易度・合格基準等を解説
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作業環境測定士とは?仕事内容は?
作業環境測定士は、職場の有害物質などの測定をおこない、環境改善を図ると同時に労働者の健康を守ることも主な職務とする国家資格です。
作業環境測定士には、デザイン・サンプリング、分析(解析を含む。)のすべてを行うことができる第一種作業環境測定士と、デザイン・サンプリング、簡易測定器による分析業務のみができる第二種作業環境測定士の2種類あります。
また、第一種作業環境測定士は「鉱物性粉じん」、「放射性物質」、「特定化学物質」、「金属類」、「有機溶剤」のそれぞれ独立した資格となります。
作業環境測定士試験の受験資格は?なるにはどうすればいい?
作業環境測定士試験の受験資格は以下となります。
1-1 | 学校教育法による大学【注1】において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの (大学院の修了証明書等は含まれません。) |
学校教育法による高等専門学校【注2】において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの (専攻科の修了証明書等は含まれません。) |
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1-2 | 理科系統の正規の課程を修めて学校教育法による専門職大学の前期課程を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
2 | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
3-1 | 学校教育法による大学【注1】において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの (大学院の修了証明書等は含まれません。) |
学校教育法による高等専門学校【注2】において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの (専攻科の修了証明書等は含まれません。) |
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3-2 | 理科系統の正規の課程以外の課程を修めて学校教育法による専門職大学の前期課程を修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
3-3 | 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程以外の課程を修めた者)で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
3-4 | 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程以外の課程を修めた者)と同等以上の学力を有すると認められる者(次の①~③のいずれかに該当する者)で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの ① 防衛大学校(理科系統以外の専門学科)を卒業した者【注4】 ② 専修学校の専門課程(修業年限2年以上、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間以上)の修了者(大学入学資格を有する者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位(理科系統以外)を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者 ③ 文部科学大臣の指定を受けた専修学校の専門課程(修業年限4年以上、理科系統以外の学科)を所定の日以後に修了した者など学校教育法施行規則第155条第1項に規定する者 |
4-1 | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科以外の学科を修めて卒業した者で、その後5年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
4-2 | 高等学校卒業程度認定試験に合格した者、外国において学校教育における12年の課程を修了した者など学校教育法施行規則第150条に規定する者で、その後5年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
4-3 | 学校教育法施行規則第150条に規定する者と同等以上の学力を有すると認められる者【注5】で、その後5年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
5-1 | 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程を修めた者)で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
5-2 | 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程を修めた者)と同等以上の学力を有すると認められる者(次の①~③のいずれかに該当する者)で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの ① 職業能力開発総合大学校(長期課程又は総合課程)、防衛大学校(理科系統の専門学科)、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校(大学部)又は国立看護大学校(看護学部看護学科)を卒業(修了)した者【注4】 ② 専修学校の専門課程(修業年限2年以上、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間以上)の修了者(大学入学資格を有する者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位(理科系統)を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者 ③ 文部科学大臣の指定を受けた専修学校の専門課程(修業年限4年以上、理科系統の学科)を所定の日以後に修了した者など学校教育法施行規則第155条第1項に規定する者 |
6 | 応用課程の高度職業訓練(理科系統の専攻学科)又は専門課程若しくは特定専門課程の高度職業訓練【注6】(理科系統の専攻学科又は専門学科)を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
7 | 普通課程の普通職業訓練【注6】(理科系統の専攻学科又は専門学科)を修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
8 | 専修訓練課程の普通職業訓練【注6】(理科系統の専門学科)を修了した者で、その後4年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
9 | 職業訓練の検定職種のうち、一級、二級又は単一等級の技能検定(理学、工学の知識を必要とするものに限る。)に合格した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの |
10 | 8年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者 |
11 | 測定法施行規則第17条の各号のいずれかに該当する者【注7】 「3.免除科目」を参照 |
12 | 技術士試験の第二次試験に合格した者 |
13 | 産業安全専門官、労働衛生専門官若しくは労働基準監督官又はその職務にあった者 |
作業環境測定士試験の概要
科目・出題範囲
作業環境測定士試験の科目・出題範囲は、以下となります。
第一種・第二種作業環境測定士 共通科目 |
労働衛生一般(衛生一般) |
労働衛生関係法令(関係法令) |
作業環境について行うデザイン・サンプリング(デザイン) |
作業環境について行う分析に関する概論(分析概論) |
第一種・第二種作業環境測定士 選択科目 |
有機溶剤 |
鉱物性粉じん(粉じん) |
特定化学物質(特化物) |
金属類 |
放射性物質(放射線) |
出題形式
作業環境測定士試験の出題形式は、五肢択一式です。
試験時間
作業環境測定士試験の試験時間は、全科目60分です。
合格基準(合格ライン)
作業環境測定士試験の合格基準は、科目ごとに満点中、60%以上の得点率です。
受験料
第一種作業環境測定士試験の受験料は、以下となります。
共通科目+選択科目を受験する場合 | 共通科目が全部免除で、選択科目のみ受験申請する場合 | ||
1科目選択 | 13,900円 | 選択科目1科目 | 10,600円 |
2科目選択 | 17,200円 | 選択科目2科目 | 13,900円 |
3科目選択 | 20,500円 | 選択科目3科目 | 17,200円 |
4科目選択 | 23,800円 | 選択科目4科目 | 20,500円 |
5科目選択 | 27,100円 | 選択科目5科目 | 23,800円 |
第二種作業環境測定士試験の受験料は、11,800円です。
試験会場
作業環境測定士試験の試験会場は、北海道安全衛生技術センター、東北安全衛生技術センター、関東安全衛生技術センター、中部安全衛生技術センター、近畿安全衛生技術センター、中国四国安全衛生技術センター、九州安全衛生技術センター、東京都などです。
作業環境測定士試験の免除制度
作業環境測定士試験に免除制度は、以下となります。
科目の免除を 受けることのできる者 | 共通科目 | 選択科目 | ||||||||
衛 生 一 般 | 関 係 法 令 | デ ザ イ ン | 分 析 概 論 | 粉 じ ん | 放 射 線 | 特 化 物 | 金 属 類 | 有 機 溶 剤 | ||
1 | 学校教育法による大学若しくは高等専門学校を卒業し【注1】、又は高等学校若しくは中等教育学校を卒業し【注2】、環境計量士(濃度関係に限る。)の登録を受けた者で、厚生労働大臣の登録を受けた団体が行う試験免除講習【注3】を修了した者 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
2 | 環境計量士(濃度関係に限る。)の登録を受けた者で、1に掲げる者以外のもの | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |||
3 | 診療放射線技師 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||
4 | 技術士(化学部門、金属部門又は応用理学部門に限る。)の登録を受けた者 | ○ | ||||||||
5 | 技術士(衛生工学部門に限る。)の登録を受けた者で、空気環境の測定の実務に3年以上従事した経験を有するもの | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ||||
6 | 選任されている核燃料取扱主任者、試験研究用等原子炉主任技術者、発電用原子炉主任技術者又は第一種放射線取扱主任者 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||
7 | 核燃料取扱主任者免状、原子炉主任技術者免状又は第一種放射線取扱主任者免状を有する者で、放射性物質の濃度の測定の実務に3年以上従事した経験を有するもの | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||
8 | 臨床検査技師で、空気環境の測定の実務に3年以上従事した経験を有するもの | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
9 | 臨床検査技師で、大学において作業環境、統計及び関係法令に関する授業科目を修めて卒業したもの【注7】 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
10 | 臨床検査技師で、8及び9に掲げる者以外のもの | ○ | ○ | |||||||
11 | 衛生検査技師 | ○ | ||||||||
12 | 専門課程の高度職業訓練(化学システム系環境化学科の訓練に限る。)を修了し、かつ、技能照査に合格した者 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | |||||
13 | 化学分析科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者 | ○ | ○ | |||||||
14 | 職業訓練の検定職種のうち、化学分析に係る一級又は二級の技能検定に合格した者 | ○ | ||||||||
15 | 公害防止管理者試験【注5】(騒音・振動を除く。)又は公害防止主任管理者試験に合格した者 | ○ | ||||||||
16-1 | 衛生工学衛生管理者免許を受けた者で、3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働大臣の登録を受けた団体が行う試験免除講習【注3】を修了したもの | ○ | ○ | |||||||
16-2 | 第一種衛生管理者免許を受けた者で、5年以上労働衛生の実務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働大臣の登録を受けた団体が行う試験免除講習【注3】を修了したもの | ○ | ○ | |||||||
17 | 労働衛生コンサルタント | ○ | ○ | |||||||
18 | 労働衛生専門官又は労働基準監督官として3年以上その職務に従事した経験を有する者 | ○ | ○ | |||||||
19 | 作業環境測定士試験に合格した者又は作業環境測定士として登録を受けた者 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
20 | 厚生労働大臣の登録を受けた大学若しくは高等専門学校又は職業能力開発短期大学校若しくは職業能力開発大学校において第二種作業環境測定士となるために必要な知識及び技能を付与する科目を修めて卒業【注8】し、又は訓練を修了した者 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
21 | 過去の試験を受験し、一部の共通科目について合格点を受けた者(有効期限は2年) | 免除科目については、試験結果通知書に記載されています。 | - |
・選択科目中の◎印は、共通科目のうち全ての科目について科目免除又は合格の場合には、その◎印の科目の受験申請をしなくても登録講習を受講できる科目です。
作業環境測定士試験の日程
作業環境測定士試験は8月と2月に実施されており、第一種作業環境測定士試験は8月のみの実施です。
申込み期間
作業環境測定士試験の申込み期間は、例年5月下旬~6月下旬、11月上旬~12月上旬です。
試験日
作業環境測定士試験の試験日は、例年8月下旬、2月中旬です。
合格発表日
作業環境測定士試験の合格発表日は、例年10月上旬、3月中旬です。
作業環境測定士試験の合格率・受験者数
第一種作業環境測定士 | 第二種作業環境測定士 | |||
合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | |
2022年 | 66.4% | 935人 | 42.0% | 1,384人 |
作業環境測定士試験の難易度は?どれくらいのレベル?
作業環境測定士試験の合格率は第一種が60%台、第二種が40%台となっており、難易度は少し難しい程度とされています。
作業環境測定士試験の勉強法・対策方法は?
作業環境測定士試験の成功の鍵は、過去問題を繰り返し解くことです。特に、過去5回分の試験問題を網羅する問題集を使用すると、試験の傾向や対策がつかめます。問題集には、解答と分かりやすい解説が掲載されており、これを最低3回は解くことをおすすめします。
労働衛生一般に関しては、化学物質や粉じんの種類がどのような病気を引き起こすかを確実に暗記することが求められます。
労働衛生関係法令の部分では、事業所の人数に応じて法律の効果が変わる点や、作業環境測定に関する問題など、細かい部分もしっかりと覚えることが求められます。
デザインサンプリングに関しては、問題を解きながらサンプリングのイメージを持つことが有利とされています。
また、分析に関する概論の部分では、高校レベルの化学の知識が必要となるため、高校時代に化学を学んでいない方は、特にこの部分に時間を割くことが推奨されています。分析機器に関する問題も出題されるので、こちらも過去問を繰り返し解き、対象物質に対してどの分析機器を使用するかを暗記することが大切です。
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