アクチュアリー試験

アクチュアリー試験とは?受験資格・科目・合格率・難易度・合格基準等を解説

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アクチュアリー(保険数理士)とは?仕事内容は?

アクチュアリー(保険数理士)とは、将来のリスクや不確実性を数理的に分析し評価する専門家です。この職業は、保険や年金の掛け金や支払額を計算することが主な業務であり、数理計算の専門家としての役割を担っています。アクチュアリー試験は非常に難易度が高く、資格取得までには約8年の年月を要することが特徴です。

アクチュアリーの主な就職先や勤務先には、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、監査法人、公務員(厚生労働省数理職など)があります。生命保険会社や損害保険会社で働くアクチュアリーは、クライアントの商品開発に関わり、自らが企画・設計した保険商品が市場に出ることもあります。また、年金の財政計算や退職給付債務計算などもアクチュアリーの重要な業務の一つです。

アクチュアリー試験の受験資格は?なるにはどうすればいい?

アクチュアリー試験第1次試験に受験資格は、試験実施年の3月31日時点で満18歳以上の方です。

アクチュアリー試験第2次試験に受験資格は、第1次試験の全5科目に合格した日本アクチュアリー会の準会員となっています。

なお、アクチュアリーを名乗るには試験合格後「プロフェッショナリズム研修」を受講する必要があります。

アクチュアリー試験の概要

科目・出題範囲

アクチュアリー試験の科目・出題範囲は、以下となります。

第1次試験(基礎科目)
数学 確率・統計・モデリング 確率
事象と確率
確率変数、確率分布、確率密度関数、分布関数
確率変数の平均値、分散
変数変換と和の分布
積率と積率母関数、確率母関数、特性関数
大数の法則と中心極限定理

統計

データのまとめ方
統計的推定、区間推定
統計的検定
標本分布論と標本調査
最小2乗法と相関係数と回帰係数の推定、検定

モデリング
回帰分析
時系列解析
確率過程
シミュレーション
生保数理 生保数理の基礎および応用 利息の計算
生命表および生命関数
脱退残存表
純保険料
責任準備金(純保険料式)
計算基礎の変更
営業保険料
実務上の責任準備金
解約その他諸変更に伴う計算
連合生命に関する生命保険および年金
就業不能(または要介護)に関する諸給付
災害および疾病に関する保険
損保数理 損保数理の基礎および応用 料率算定の基礎(回帰分析等を含む)、リスクモデル
純保険料と営業保険料の算定方法
信頼性理論
経験料率、クラス料率
支払備金の整理
積立保険の数理
保険料算出原理
危険理論の基礎
再保険の数理
リスク評価の数理
年金数理 年金数理・年金財政の基本 年金数理の基本原理
計算基礎率
年金現価率
定常人口論(含む人口モデル)
財政方式
保険料と責任準備金
積立金と過去勤務債務
数理的損益分析
会計・経済・投資理論 会計・経済・投資理論の基本 会計
財務会計の機能と制度
利益計算の仕組み
会計理論と会計基準
利益測定と資産評価の基礎概念
現金預金と有価証券
売上高と売上債権
棚卸資産と売上原価
有形固定資産と減価償却
無形固定資産と繰延資産
負債
株主資本と純資産
財務諸表の作成と公開

経済
ミクロ経済学
 需要と供給
 需要曲線と消費者行動
 費用の構造と供給行動
 市場取引と資源配分
 ゲームの理論入門
マクロ経済学
 経済をマクロからとらえる
 有効需要と乗数メカニズム
 貨幣の機能
 マクロ経済政策

投資理論
投資家の選好
ポートフォリオ理論
CAPM
リスクニュートラル・プライシング
デリバティブの評価理論
債券投資分析
株式投資分析
デリバティブ投資分析
第2次試験(専門科目)
生保コース 生保1 生保商品の実務 営業保険料
解約および解約返戻金
アセットシェア
生命保険の商品開発
変額年金保険
団体生命保険
医療保険
再保険
商品毎収益検証
生保コース 生保2 生保会計・決算 生命保険会計(保険会社税制を含む)
契約者配当
リスク管理・ALM
事業費の管理・分析
ソルベンシー
内部管理会計
相互会社と株式会社
変額年金保険
医療保険の責任準備金等
損保コース 損保1 損保商品の実務 損害保険業とは
損害保険料率
保険料の算定
再保険
リスク管理
損害保険業とアクチュアリー
リスクモデル
損害率・事業費率の分析
損保コース 損保2 損保会計・決算・資産運用 損害保険業とは
損害保険会計の特色と体系
支払備金
責任準備金
資産運用
損害保険会計と税務
リスク管理
損害保険業とアクチュアリー
損害保険の損益分析
年金コース 年金1 公的年金制度および各種退職給付制度の設計・税務 公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)の設計
確定給付企業年金制度および確定拠出年金制度の設計
退職金制度、中小企業退職金共済制度等
公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)および各種退職給付制度の税務
年金コース 年金2 公的年金制度および企業年金制度の財政ならびに退職給付会計 公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)の財政
確定給付企業年金制度の財政
退職給付会計(国際会計基準を含む)
※第2次試験は、生保コース、損保コース、年金コースの3コースから1コース選択し該当の2科目を受験する

出題形式

アクチュアリー試験の出題形式は、第1次試験がマークシート方式、第2次試験が論述形式です。

試験時間

アクチュアリー試験の試験時間は、各180分です。

合格基準(合格ライン)

アクチュアリー試験第1次試験の合格基準は、「数学」、「生保数理」、「損保数理」、「年金数理」、「会計・経済・投資理論」については、各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点以上の得点の者、ただし、「会計・経済・投資理論」については、「会計」、「経済」、「投資理論」の各分野のうち一分野でも最低ライン(分野ごとの満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点に達していない場合は、不合格となります。

アクチュアリー試験第2次試験の合格基準は、

「生保1」、「生保2」、「損保1」、「損保2」、「年金1」、「年金2」については、各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点以上の得点の者、ただし、第I部、第II部のいずれかでも最低ライン(第I部は満点の60%、第II部は満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)に達していない場合は、不合格となります。

受験料

アクチュアリー試験の受験料は、1科目につき8,500円(税込)です。

試験会場

アクチュアリー試験はCBT形式で実施され、試験会場は、第1次試験が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県内の各地の他、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市、第2次試験が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉内の各地の他、大阪市です。

アクチュアリー試験の免除制度

アクチュアリー試験は、科目合格制度があり、多くの受験者が数年かけて試験に合格しています。

アクチュアリー試験の日程

申込み期間

アクチュアリー試験の申込み期間は、例年9が中旬~10月中旬です。

試験日

アクチュアリー試験の試験日は、例年12月中旬の4日間の日程で、選択した科目を受験します。

合格発表日

アクチュアリー試験の合格発表日は、例年2月中旬です。

アクチュアリー試験の合格率・受験者数

第1次試験

数学 合格率 受験者数
2022年 14.1% 767人
2021年 12.4% 928人
2020年 19.2% 1,044人
2019年 23.9% 1,136人
2018年 13.0% 1,139人
生保数理 合格率 受験者数
2022年 19.7% 482人
2021年 28.5% 568人
2020年 36.3% 633人
2019年 32.0% 774人
2018年 12.8% 719人
損保数理 合格率 受験者数
2022年 21.5% 512人
2021年 31.8% 658人
2020年 13.3% 682人
2019年 16.2% 637人
2018年 23.5% 652人
年金数理 合格率 受験者数
2022年 33.3% 369人
2021年 47.7% 577人
2020年 13.5% 487人
2019年 17.0% 442人
2018年 35.2% 542人
会計・経済・投資理論 合格率 受験者数
2022年 32.8% 574人
2021年 17.7% 634人
2020年 33.3% 745人
2019年 22.1% 725人
2018年 14.1% 689人

第2次試験

生保コース 生保1 生保2
合格率 受験者数 合格率 受験者数
2022年 14.4% 361人 15.8% 323人
2021年 17.6% 335人 15.5% 303人
2020年 17.4% 356人 19.8% 318人
2019年 13.5% 362人 18.1% 353人
2018年 14.7% 360人 13.5% 347人
損保コース 損保1 損保2
合格率 受験者数 合格率 受験者数
2022年 15.3% 144人 10.5% 105人
2021年 16.4% 134人 24.3% 107人
2020年 15.0% 147人 18.5% 119人
2019年 12.3% 163人 16.8% 131人
2018年 10.8% 157人 15.3% 131人
年金コース 年金1 年金2
合格率 受験者数 合格率 受験者数
2022年 6.9% 72人 17.4% 69人
2021年 10.0% 60人 20.0% 70人
2020年 14.3% 70人 17.6% 85人
2019年 15.9% 82人 13.5% 96人
2018年 14.1% 85人 17.1% 111人

アクチュアリー試験の難易度は?

アクチュアリー試験は各科目に合格する必要があり、多少差はありますがどの科目も20%以下の合格率となることが多く、難易度は非常に高いです。

アクチュアリー試験の勉強法・対策方法は?

アクチュアリー試験の勉強では、まず過去問の出題傾向を把握することが重要です。過去問を解くことで、頻出問題や定番問題を自然と多く解くことになり、効率的に合格に近づくことができます。過去問は、合格するために必要な問題が解けるようになるための最良の学習教材とされています。

過去問を解く前には、全体像の把握と基本事項の習得が必要です。試験範囲を網羅している教材を使用し、基本的な知識を身につけた後に過去問に取り組むことが効果的です。過去問を解く際には、まずは10年分の問題をじっくりと1周し、間違えた問題には印をつけて繰り返し復習します。この過程で、間違えた問題の原因分析を行い、理解が不十分な部分を明確にし、徹底的に反復練習を行います。

また、本番の試験を想定したシミュレーションも重要です。時間を測りながら過去問を解くことで、試験の時間配分や自分の得点可能性を把握し、試験に臨む準備を整えます。直近の年度の過去問は試験直前期に初見で解いてみることも有効です。

さらに、過去問を解き終えた後は、指定教科書の問題を解いたり、古い年度の過去問や年金数理人会の過去問に挑戦したりすることで、初見の問題に対する対応力を高めます。

このように、アクチュアリー試験の勉強法は、過去問を中心にしつつ、基本的な知識の習得と本番の試験を想定したシミュレーションを行い、効率的に学習を進めることが重要です。

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アクチュアリー試験実施団体

公益社団法人 日本アクチュアリー会

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