公害防止管理者等国家試験とは?受験資格・科目・合格率・難易度・合格基準等を解説
公開日:
本ページにはプロモーションが含まれていることがあります
公害防止管理者とは?
公害防止管理者は、公害を未然に防ぐために工場に選任される専門家です。この制度は、戦後の日本が経済成長を遂げる中で発生した公害問題に対応するために設けられました。
この試験は、公害防止に関する専門的知識を持つ人材を確保し、産業活動が国民の健康や環境に与える影響を最小限に抑えることを目的としています。
公害防止管理者等国家試験は、公害の内容に合わせ全13区分実施されています。
大気関係第1種公害防止管理者 | 騒音・振動関係公害防止管理者 |
大気関係第2種公害防止管理者 | ダイオキシン類関係公害防止管理者 |
大気関係第3種公害防止管理者 | 特定粉じん関係公害防止管理者 |
大気関係第4種公害防止管理者 | 一般粉じん関係公害防止管理者 |
水質関係第1種公害防止管理者 | 公害防止主任管理者 |
水質関係第2種公害防止管理者 | |
水質関係第3種公害防止管理者 | |
水質関係第4種公害防止管理者 |
公害防止管理者等国家試験の受験資格は?なるにはどうすればいい?
公害防止管理者等国家試験に受験資格はありません。
また、公害防止管理者等資格認定講習を受講し修了試験に合格することでも資格を取得できますが、講習に参加するには厳しい条件があります。
公害防止管理者等国家試験の概要
科目・出題範囲
公害防止管理者等国家試験の科目・出題範囲は、以下となります。
公 害 総 論 | 大 気 概 論 | 大 気 特 論 | ば い じ ん ・ 粉 じ ん 特 論 | 大 気 有 害 物 質 特 論 | 大 規 模 大 気 特 論 | 水 質 概 論 | 汚 水 処 理 特 論 | 水 質 有 害 物 質 特 論 | 大 規 模 水 質 特 論 | 騒 音 ・ 振 動 概 論 | 騒 音 ・ 振 動 特 論 | ば い じ ん ・ 一 般 粉 じ ん 特 論 | ダ イ オ キ シ ン 類 概 論 | ダ イ オ キ シ ン 類 特 論 | 大 気 ・ 水 質 概 論 | 大 気 関 係 技 術 特 論 | 水 質 関 係 技 術 特 論 | |
大気関係第1種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
大気関係第2種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
大気関係第3種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
大気関係第4種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||
水質関係第1種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
水質関係第2種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||
水質関係第3種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||
水質関係第4種 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
騒音・振動関係 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
特定粉じん関係 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
一般粉じん関係 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
ダイオキシン類関係 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||
公害防止主任管理者 | ○ | ○ | ○ | ○ |
全試験区分共通 | 公害総論 | (1)環境基本法及び環境関連法規の概要に関すること (2)特定工場における公害防止組織の整備に関する法律体系に関すること (3)環境問題全般に関すること (4)環境管理手法に関すること (5)国際環境協力に関すること |
大気及び粉じん関係の試験区分 | 大気概論 | (1)大気汚染防止対策のための法規制に関すること (2)大気汚染の現状に関すること (3)大気汚染の発生機構に関すること (4)大気汚染による影響に関すること (5)国又は地方公共団体の大気汚染防止対策に関すること |
大気特論 | (1)燃料に関すること (2)燃焼計算に関すること (3)燃焼方法及び燃焼装置に関すること (4)排煙脱硫技術に関すること (5)窒素酸化物排出防止技術に関すること (6)測定に関すること |
|
ばいじん・粉じん特論 | (1)処理計画に関すること (2)集じん装置の原理、構造及び特性に関すること (3)集じん装置の維持・管理に関すること (4)一般粉じん発生施設と対策に関すること (5)特定粉じん発生施設と対策、測定に関すること (6)ばいじん・粉じんの測定に関すること |
|
大気有害物質特論 | (1)有害物質の発生過程に関すること (2)有害物質処理方式に関すること (3)特定物質の事故時の措置に関すること (4)有害物質の測定に関すること |
|
大規模大気特論 | (1)拡散現象一般に関すること (2)拡散濃度の計算法に関すること (3)大気関係環境影響評価のための拡散モデルに関すること (4)大気環境濃度の予測手法に関すること (5)大規模設備の大気汚染防止対策の事例に関すること |
|
ばいじん・一般粉じん特論 | (1)処理計画に関すること (2)集じん装置の原理、構造及び特性に関すること (3)集じん装置の維持・管理に関すること (4)一般粉じん発生施設と対策に関すること (5)ばいじん・粉じんの測定に関すること |
|
水質関係の試験区分 | 水質概論 | (1)水質汚濁防止対策のための法規制に関すること (2)水質汚濁の現状に関すること (3)水質汚濁の発生源に関すること (4)水質汚濁の機構に関すること (5)水質汚濁の影響に関すること (6)国又は地方公共団体の水質汚濁防止対策に関すること |
汚水処理特論 | (1)汚水等処理計画に関すること (2)物理・化学的処理法に関すること (3)生物的処理法に関すること (4)汚水等処理装置の維持・管理に関すること (5)測定に関すること |
|
水質有害物質特論 | (1)有害物質の性質と処理に関すること (2)有害物質含有排水処理施設の維持・管理に関すること (3)有害物質の測定に関すること |
|
大規模水質特論 | (1)水質汚濁物質の挙動に関すること (2)処理水の再利用に関すること (3)大規模設備の水質汚濁防止対策の事例に関すること |
|
騒音・振動関係 | 騒音・振動概論 | <騒音関係> (1)騒音対策のための法規制に関すること (2)騒音公害の現状と施策に関すること (3)主要な騒音発生源に関すること (4)騒音の感覚に関すること (5)騒音の影響・評価と基準に関すること (6)音の性質に関すること |
<振動関係> (1)振動対策のための法規制に関すること (2)振動公害の現状と施策に関すること (3)主要な振動発生源に関すること (4)振動の感覚及び評価に関すること (5)振動の影響に関すること (6)振動の性質に関すること |
||
<騒音・振動関係> (1)dBについての計算に関すること (2)低周波音に関すること |
||
騒音・振動特論 | <騒音関係> (1)騒音防止技術に関すること (2)騒音の測定技術に関すること |
|
<振動関係> (1)振動防止技術に関すること (2)振動の測定技術に関すること |
||
ダイオキシン類関係 | ダイオキシン類概論 | (1)ダイオキシン類対策のための法規制に関すること (2)ダイオキシン類問題の背景に関すること (3)ダイオキシン類排出の現状に関すること (4)ダイオキシン類の性質に関すること (5)ダイオキシン類汚染の発生機構に関すること (6)ダイオキシン類汚染による影響に関すること (7)国又は地方公共団体のダイオキシン類汚染防止対策に関すること |
ダイオキシン類特論 | (1)大気関係ダイオキシン類対策に関すること (2)大気関係ダイオキシン類対象施設に関すること (3)水質関係ダイオキシン類対策に関すること (4)水質関係ダイオキシン類対象施設に関すること (5)測定に関すること |
|
公害防止主任管理者 | 大気・水質概論 | <大気概論関係> (1)大気汚染防止対策のための法規制に関すること (2)大気汚染の現状に関すること(有害物質に関することを含む。) (3)大気汚染の発生機構に関すること(有害物質に関することを含む。) (4)大気汚染による影響に関すること(5)国又は地方公共団体の大気汚染防止対策に関すること |
<水質概論関係> (1)水質汚濁防止対策のための法規制に関すること (2)水質汚濁の現状に関すること(有害物質に関することを含む。) (3)水質汚濁の発生源に関すること(有害物質に関することを含む。) (4)水質汚濁の機構に関すること (5)水質汚濁の影響に関すること (6)国又は地方公共団体の水質汚濁防止対策に関すること |
||
大気関係技術特論 | <大気特論関係> (1)燃料に関すること (2)燃焼計算に関すること (3)燃焼方法及び装置に関すること (4)排煙脱硫技術に関すること (5)窒素酸化物排出防止技術に関すること (6)測定に関すること |
|
<ばいじん・粉じん特論関係> (1)処理計画に関すること (2)集じん装置の原理、構造及び特性に関すること (3)集じん装置の維持・管理に関すること (4)一般粉じん発生施設と対策に関すること (5)特定粉じん発生施設と対策、特定粉じんの測定に関すること (6)ばいじん・粉じんの測定に関すること |
||
<大規模大気特論関係> (1)拡散現象一般に関すること (2)拡散濃度の計算法に関すること (3)大気関係環境影響評価のための拡散モデルに関すること (4)大気環境濃度の予測手法に関すること (5)大規模設備の大気汚染防止対策の事例に関すること |
||
水質関係技術特論 | <汚水処理特論関係> (1)汚水等処理計画に関すること (2)物理・化学的処理法に関すること (3)生物的処理法に関すること (4)汚水等処理装置の維持・管理に関すること (5)測定に関すること |
|
<大規模水質特論関係> (1)水質汚濁物質の挙動に関すること (2)処理水の再利用に関すること (3)大規模設備の水質汚濁防止対策の事例に関すること |
出題形式
公害防止管理者等国家試験の出題形式は、五者択一式です。
試験時間
公害防止管理者等国家試験の試験時間は、以下となります。
公害総論 | 50分 | ばいじん・一般粉じん特論 | 35分 | 騒音・振動特論 | 90分 |
大気概論 | 95分 | 水質概論 | 95分 | ダイオキシン類概論 | 50分 |
大気特論 | 50分 | 汚水処理特論 | 75分 | ダイオキシン類特論 | 75分 |
ばいじん・粉じん特論 | 50分 | 水質有害物質特論 | 50分 | 大気・水質概論 | 35分 |
大気有害物質特論 | 35分 | 大規模水質特論 | 90分 | 大気関係技術特論 | 60分 |
大規模大気特論 | 35分 | 騒音・振動概論 | 75分 | 水質関係技術特論 | 60分 |
合格基準(合格ライン)
公害防止管理者等国家試験の合格基準は、年度ごとに異なります。
受験料
公害防止管理者等国家試験の受験料(非課税)は、以下の通りです。
大気関係第1種公害防止管理者 | 12,300 円 |
大気関係第3種公害防止管理者 | |
水質関係第1種公害防止管理者 | |
水質関係第3種公害防止管理者 | |
ダイオキシン類関係 | |
公害防止主任管理者 | |
大気関係第2種公害防止管理者 | 11,600 円 |
大気関係第4種公害防止管理者 | |
水質関係第2種公害防止管理者 | |
水質関係第4種公害防止管理者 | |
騒音・振動関係公害防止管理者 | |
特定粉じん関係 | |
一般粉じん関係 |
試験会場
公害防止管理者等国家試験の試験会場は、札幌市、仙台市、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県含む)、愛知県(名古屋市を含む)、大阪府(大阪市を含む)、広島市、高松市、福岡市、那覇市)とその周辺都市となっています。
公害防止管理者等国家試験の免除制度
公害防止管理者等国家試験に免除制度は、「同一の試験区分を受験する場合(科目合格に基づく免除)」「他の試験区分を受験する場合(区分合格に基づく免除)」「全科目免除」があります。
公害防止管理者等国家試験の日程
申込み期間
公害防止管理者等国家試験の申込み期間は、例年7月上旬~7月下旬です。
試験日
公害防止管理者等国家試験の試験日は、例年10月上旬です。
合格発表日
公害防止管理者等国家試験の合格発表日は、例年11月中旬です。
公害防止管理者等国家試験の合格率・受験者数
大気関係第1種 | 大気関係第2種 | 大気関係第3種 | 大気関係第4種 | |||||
合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | |
2023年 | 19.1% | 4,373名 | 23.3% | 215名 | 10.8% | 961名 | 10.1% | 1,402名 |
水質関係第1種 | 水質関係第2種 | 水質関係第3種 | 水質関係第4種 | |||||
合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | |
2023年 | 31.5% | 3,237名 | 18.3% | 873名 | 26.5% | 319名 | 17.8% | 1,697名 |
騒音・振動関係 | 特定粉じん関係 | 一般粉じん関係 | ダイオキシン類関係 | |||||
合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格率 | 受験者数 | |
2023年 | 26.5% | 1,467名 | 36.2% | 316名 | 18.0% | 283名 | 42.4% | 776名 |
主任管理者 | ||
合格率 | 受験者数 | |
2023年 | 30.4% | 57名 |
公害防止管理者等国家試験の難易度は?
公害防止管理者等国家試験の合格率は区分により10~40%程度と差があり、全体の平均合格率は25%前後となっており、難易度は全体的に高いです。
公害防止管理者等国家試験の勉強法・対策方法は?
公害防止管理者試験は、過去問の内容を避けるように細かい内容が出題されるため、過去問を解くだけの勉強では不十分です。また、同じ形式の問題も半分程度は出題されるため、過去問を解くことも重要です。
勉強方法としては、過去問の勉強に加えて、参考書や法令の学習、環境省のサイトを利用した学習が効果的です。特に、環境基本法や特定工場における公害防止組織の整備に関する法律、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの法令に関しては、全ての条文を読み、試験直前まで確実に回答できるように準備しておきましょう。
また、計算問題や公式に関しても、確実に解けるように練習を重ねることが大切です。公式に関しては、極力記憶し、直接公式を問われることもあるため、準備が必要です。
コメント