数学は大学受験において大きな壁になりうる可能性の高い科目です。

そんな「数学」を受験科目として選択することだけでも、大きな決断になるかと思います。

本コラムでは、文系でも国公立を目指す方、文系でどうしても社会が嫌いで数学で受験しようと思っている方に向けて数学の基本的な学習方法をお伝えします。

数学の勉強はしているけどなかなか点数が伸びないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

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数学の問題を解くために必要な力3つ

現在、どのように勉強をしていますか?

「ひたすら問題集を解き続ける」「教科書の例題と解法を暗記する」など、学習方法は人それぞれです。

どの学習方法も間違いではありません。

思うように成績が伸びない原因として、数学に必要なスキル不足が考えられます。

数学の問題を解けるようになるには、以下3つの力が必要です。

  1. 計算力
  2. 立式力
  3. 解釈力

1.計算力(素早く正確に計算する)

試験では、制限時間が設定されています。計算にかける時間が長くなれば、時間内に間に合わない可能性もあるでしょう。

計算力は、スポーツでいうところの「基礎体力」と思ってよいでしょう。

2.立式力(問題文のキーワードを読み解く)

小・中学生時代、文章題が苦手だったという方は「立式力」の強化が必要です。

数学は言わば、日本語を数式に変換する科目です。
仮にどれだけ計算ができても「計算する為の式」がなかったら意味がありません

3.解釈力(問題文をグラフまたは図に描く)

この力については、定期テストでは点数が取れるが、模試や実力テストなどになれば点数が取れないという現象を引き起こす要因の1つにもなります。

簡単にいうと別解を理解するということになります。

以上3つの力を習得できれば、数学が得意といわれるレベルになります(具体的には、ベネッセが行う模試にて全国偏差値65ぐらいを取得できるレベル)。

大学受験 数学の勉強法 基本編

「計算力」「立式力」のゴールと、そのゴールに到達する為の方法とはどのようなものなのでしょうか?
ここでは共通テスト数学IA・ⅡBにて70点を取るためのゴールについてお伝えします。

「計算力」について

ゴール:数字が係数である方程式・不等式を2分以内に解くこと

例:

▼目標とするような方程式

▼目標には当たらない方程式

方法:目標時間を設けて、数をこなす

陸上や水泳などのタイムを図るスポーツと同様の考え方になります。

設定時間について解説します。以下の手順で学習すると成果が出易くなります。

step.1 目標時間は設定せず、解くのにかかった時間だけを記載する
step.2 目標時間を参考書の基準に従って設定する
step.3 step.2の基準より「ー3分」を目標時間に設定する

step.1 については、現在地を知るために行うことです。

簡単にいうと目的は「前の自分を超える」ということになります。前の自分が超えられるようになったら次のstepに行きましょう。

step.2 については、参考書の求めているレベルをクリアすることが目的になります。
こちらがクリアできれば次の参考書に移る1つの目安にしてもいいですね。

最低でもstep.2 までは繰り返し行いましょう。

step.3 については、最終確認のレベルになります。

「どのようにすれば早く計算できるのか」という視点を持ちながら臨んでみてください。

「立式力」について

ゴール:問題文を読んで、解法を日本語で記述できるようになる

非常に簡単な例にはなりますが、「代金の合計を求めよ。」という問題に対して、以下のように記述していきます。

合計→”+”を使う。 
だから〇+△になる。この〇と△は、それぞれの代金になる。 
代金=単価×個数

言われてみれば当たり前のことだと思いますが、必ず行うべきです。
当たり前のことを日本語にすることは意外と難しいですからね。

加えて、「自身の頭では分かっているけれどもアウトプットできない」ということを防止するすべにもなります。

「解答の意味は分かるけど、それが実践できない」という方には大きな効果が出てきます。

漫画「ドラゴン桜」でも柳先生が似たような方法で指導しておりました。

方法:「日本語→数式」という流れを作成し続ける

step.1 参考書の方針を自分なりに「日本語→数式」という形でまとめる
step.2 問題の模範解答を自分なりに「日本語→数式」という形でまとめる
step.3 数式の行間を読む(なぜ〇〇という数式が出てきたのか

step.1とstep.2について大切なことは、自分なりにまとめるということです。

難しい言葉を使うと、「引用・参照」と「要約」が異なるものと同じです。

簡単にお伝えすると「自分でアウトプットしやすい形にする」ということです。

step.3については、数学を得意にしたいという方向けになります。

解答の1行1行に自分なりの理由付けを行ってみてください

大学受験 数学の数学勉強用 応用編

ここでは、「解釈力」というものをテーマに学習方法をご紹介いたします。
これは「数学を得意にしたい!」「共通テストで80点以上とるんだ!」という方向けになります。
もちろん、「計算力」「立式力」はついた!という方は是非チャレンジしてみてください。

まず「解釈力」とは、「問題文を変換する力」になります。
「立式力」のところで出てきた「要約する」と似ていますね。簡単に説明いたします。

変換には、以下の2種類があります。

①日本語→日本語→数式
②日本語→(数式)→グラフ(図形)→数式

①については、「立式力」の応用になります。

単純に日本語の言い換えになりますが、これができないから数学が苦手という生徒の声を聞くことが多いです。

先生に「この日本語と前に出てきた日本語って意味が一緒だよね。だから前と同じようにやってみよう」と教えてもらったことがある人も多いのではないでしょうか。

ここで大切なのは「なぜ同じに見えるか」です。
ここを抑えることが非常に難しいので、先生などに聞いてみることが一番得策科と思います。

②については、特に関数の問題で考えられることです。

日本語だけでは、まったく意味が分からないが、グラフを書いてみると「そういうことか!」と理解が早くなることは、よく起こります。

例:

 任意の実数xに対して、以下の不等式が成り立つようなmの範囲を求めよ。

この問題は、日本語だけでは難しいですが不等式の左辺をグラフを書いてみると分かりやすいものです。

上の図のようなグラフが描けたましたか?

この問題で大切な部分はこのグラフがx軸よりも上にあればいいということがこの問題の主張になります。

そのため、必要になるのは「最小値が0より大きい」ということが分かって、数式に落とし込んでいく

このような流れで頭を使うことが②の 日本語→(数式)→グラフ(図形)→数式 ということになります。

なお、「()がついている部分は省略することもある」という意味になりますのでご了承ください。

数学の難易度は、「抽象度が上がる」「条件が煩雑になる」といったことが挙げられます。

これらを「日本語で処理する」または「図形的に処理する」ことが高得点を取るためには必要です。

少し難しいですが、自信のある方はぜひ実践してみてください。

まとめ

今回、お伝えしたかったことは、「数学」の力は3つに分けて段階的に鍛え上げていくことが必要ということです。
具体的には、「計算力」「立式力」「解釈力」という順番が好ましいです。

いきなり難しい問題を解いても分からなくてやる気が上がりません。
まずは自分のステップを見極めてから、正しい方法で学習しましょう。

学習は才能だけではなく、時間と質です。
今回の記事は「質」について簡単にではありますが、お伝えさせて頂きました。

他にも「質」を高める方法はありますので、コーチングサービスといった学習方法のプロに一度相談してみるのもおすすめです。

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監修者情報

この記事の著者 須田 敦

須田 敦

大阪府立大学大学院工学研究科数理システム工学専攻。

数学を得意とし、学習塾講師として累計100人以上の指導経験を持つ。

現在は高校生を中心に、大学院で学んだ数学から高校数学から大学数学へのつながりを意識した問題・心理学・認知科学など人間の内面的な部分からアプローチを行いながら指導にあたっている。

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