英語は、大学受験を乗り切る上でほぼ必須の科目といえるでしょう。
理系・文系どちらでも使用する試験科目であり、グローバル人材育成を意識している大学では英語科目の点数を他よりも高く評価しているケースもあります。

今回は、大学受験に通用する英語力を身につける、効果的な勉強法について解説します。
大学受験生はもちろん高校1～2年生にも共通する項目が多いため、早めの対策をしたい人は是非目を通してみましょう。

大学受験での英語の効率的な勉強順とは？

大学受験の英語を突破するためには、「単語」「文法」「長文」それぞれの力をバランスよく身につける必要があります。

まず、単語・熟語を知らないと、提示されているキーワードを理解することができません。
短期間で習得できる単語量には限界があるため、長い目でコツコツ努力しながら習得していく必要があるでしょう。

文法は、文章のセンテンスや英語特有の表現を理解する上で役立ちます。
マークシート形式の出題では文法に関する知識が問われることが多く、適語補充や正誤選択などで点を取りやすくなるでしょう。
また、構成を知っておくことで文脈から内容を推察しやすくなるため、長文読解にも役立ちます。

長文は、スキルとテクニックが要される出題形式です。
文章を読み解いて理解した上で、設問に合わせて内容を参照する力が求められます。
大学によっては試験時間に対して文章のボリュームが非常に大きいこともあり、ある程度スピードを意識した問題演習が欠かせません。

次章以降は、それぞれの要素を伸ばすための勉強法を解説していきます。

大学受験の英単語の勉強法

まずは、単語の勉強法を確認していきましょう。

文部科学省による学習指導要領では、高校在学中に身につけるべき英単語は1,800語程度としています。
難関大学や国立大学を受験する場合は、1,900語程度の単語を身につけておくよう対策します。

1日のルーティンワークに組み込んで暗記する

英単語のスキルは、一朝一夕では身につきません。

前述の通り、1,900語近い単語を1～2ヶ月で丸暗記するのは難しいため、最初から長期スパンで学習計画を立てておくことが肝心です。

まずは、1日のルーティンワークのなかに英単語の学習時間を確保することから始めましょう。

「朝学校に行く前に10分間英単語学習の時間を取る」
「通学中は必ず英単語を勉強し、夜寝る前にもう一度復習する」
など自分の生活リズムに合わせたタイミングに英単語学習を組み込み、それが習慣となるよう繰り返し意識していくことが効果的です。

同じ単語帳を4～5周する

単語帳は、何冊も大量に購入する必要はありません。

自分が目指す大学のレベルに合った単語帳を1冊（最大でも2冊程度）用意し、それを繰り返し復習することが重要です。

一度学んでも、時間の経過と共にどうしても記憶は薄れてしまいます。
単語帳を1周したらもう一度最初に戻り、忘れている単語がないかチェックしましょう。

時間を空けて4～5回解いても問題なく答えられる単語であれば、完全に習得したとみなして飛ばしても問題ありません。
完璧に自分のモノにできるまで繰り返し覚え、定着を図りましょう。

大学受験の英文法の勉強法

構文やセンテンスを理解するための重要な要素であり、この力が身についていないと長文読解の質も落ちてしまうため、注意しましょう。

文法を丸ごと暗記する

大学受験英語の文法は、地域ごとの特色や口語表現を使わない非常にオーソドックスな形で扱われます。

そのため、基礎・基本の一環として丸暗記してしまうのがよいでしょう。

実際にNext StageやForestなどの英文法・語法テキストを見てみると、単語帳・熟語帳と共通しているワードが多いことに気がつきます。

Next Stage 英文法・語法問題[4th EDITION]: 入試英語頻出ポイント218の征服

むしろ「覚えていないと答えられない」という意味で単語・熟語の学習法と似通うところがありますので、十分な時間を確保してコツコツ覚えるのが効果的です。

文法を使って例文を作成する

基本的な解説を学んで文法が理解できたら、実際にそれを使用して繰り返し例文を作ってみることがおすすめです。

英文法・語法テキストの多くでは例文を掲載していますので、慣れないうちはその例文の単語を少しずつ変える形で試していきましょう。

どの単語とどの単語が繋がっているのか、主語（subject）・述語動詞（verb）・目的語（object）・補語（complement）がどの部分なのかを意識しながら読み書きすることで、文章全体を見据えながら読解していけるようになります。

大学受験英語のリスニングの勉強法

大学受験英語のリスニング力を伸ばすには、「毎日音声を聞いて、聞き取れない部分を徹底的に確認・復習する勉強法」が最も効果的です。
まずは以下の手法を繰り返し、聞き取れない部分をなくしていきましょう。

1. まず何も見ずに1回音声を聞く（内容をざっくり把握）
2. 聞き取れなかった箇所をスクリプトで確認する
3. スクリプトを見ながらもう一度音声を聞く
4. 最後にスクリプトなしで再度聞いてみる

このサイクルを15〜30分繰り返すことで、リスニングの精度とスピードが格段に上がります。

隙間時間にもちょうどよいので、他教科の勉強に疲れてしまったときや寝る前などに取り組むとよいでしょう。

リスニングは「英語の音に慣れること」が基本です。

また、大学受験のリスニング問題は、日常会話・説明文・アナウンスなど様々な形式で出題されます。なんとなく英語の音声を聞いているだけでは上達しにくく、「ながら聞き」での学習効果は決して高くありません。

「聞けなかった理由をつぶす→聞けるようにする→繰り返す」勉強法が合格への近道となるので、根気よく続けていきましょう。

口に出して真似する「シャドーイング」を繰り返すのもおすすめです。

過去問などのリスニング教材を使っているうちに、一文のボリュームや頻出内容を理解できるようになるという点でもメリットがあります。

大学受験英語の長文読解の勉強法

最後に、長文の学習法を解説します。
ときにはアカデミックや話題や時事問題に即した話題が扱われることも多く、予想が難しい出題形式であるため独自の対策が必要です。

慣れないうちはスラッシュリーディング法で読み解く

長文対策を始めたばかりの頃など、慣れないうちはスラッシュリーディング法で読み解くことをおすすめします。

スラッシュリーディング法とは、ひとつの文章を構成する要素ごとに分け、文を分解しながら読む方法です。

I never knew what love was until I met you.

という文章にスラッシュを入れてみましょう。

I never knew / what love was / until I met you.
（私は知らなかった / 愛が何なのか / 私があなたに会うまで）

と訳せます。

直訳で「私は、あなたに会うまで愛とは何か知らなかった」という文章になりますし、もっと砕いて表現するなら「君が私に愛を教えてくれた」となるでしょう。

短文ごとに細かく区切ることで、格段に意味が掴みやすくなるのです。

アラームをかけながら長文を読む

難関大学に挑戦する場合は、速読スキルが欠かせません。

長文だけでなく文法やリスニングも含めてかなりのボリュームを出す大学が多くなっているため、受験前にはスピードを意識した学習をしておく必要があります。

ある程度文法・語法を習い、長文対策を繰り返してきて以降は、アラームをかけながら読んでみましょう。

1分あたり150個程度の単語を読むことが、難関大学へのひとつのハードルとなります。

長文演習専用のテキストのなかには、文章量や目標分数が記載されているものもあります。
感覚が身についていないうちはこのようなテキストを使い、「時間内に読み解くこと」を意識してナナメ読みしたり設問から先に読んだりする工夫をしていきましょう。

大学受験英語の英作文の勉強法

英作文は「文法」「語彙力」「構成力」など、英語力の総合力が試される分野です。

とくに大学受験では「正確さ」と「論理的な構成力」が問われるため、いきなり自力で自由に書こうとしても上達しにくいので注意しましょう。

まずは、英作文の「型」を覚えるのがおすすめです。

導入で意見を述べるときは「I think ～」や「In my opinion,」から始め、結論ファーストで記載するとわかりやすくなります。

冒頭で述べた意見の理由を記載するときは「This is because ～」、例を挙げながら意見や理由を伝えたいときは「For example,」から始めるなど、わかりやすいテンプレートを用意してしまいましょう。

「Another reason is that ～」などを使って別の観点から意見を述べて説得力を増し、最後にTherefore, I believe ～」でもう一度自分の意見を再主張すれば、小論文としても使える英作文が完成します。

まずはこのパラグラフ構成に慣れ、30～80語程度の英作文を書けるようにしましょう。

その他、頻出テーマで意見を変えながら何度も書いてみるのもおすすめです。

「部活動の地域以降に賛成か」「板書をスマートフォンで撮影することを許可するべきか」「オーバーツーリズムについてどう思うか」など、直近のニュースやトレンドを入れた文章にする方法もあります。

以降は模範解答を何本も読んで、少しずつ使える表現や言い回しのボキャブラリーを増やしましょう。

大学受験英語の英文解釈の勉強法

英文解釈をマスターするには、「英文の構造を正確に読み取る力（SVOC・修飾関係の把握）を鍛えること」が最も重要です。

英文解釈とは、「英文を文法的に分解して正確な意味をつかむ力」をつけるための勉強でもあります。

文構造を正しく理解できないまま単語の意味だけで雰囲気で訳すと、ボリュームのある長文も素早く読めるように感じられますが、内容を取り違えたり選択肢を間違えたりする原因になるので注意しましょう。

特に大学受験では「受験生がこう勘違いするだろう」という狙いをもって選択肢が設定されていることも多く、「できているつもりでできていない」という事態が発生します。

例えば、「The book (that he bought last week) is very interesting.（関係代名詞 “that” で「彼が先週買った」という情報が “the book” を修飾している）」など、「カッコでくくる」「主語と動詞を見つける」練習が英文解釈の基本です。

構造分析と訳出をセットで練習し、音読で定着させれば、どんな長文でも「何がどうなっているか」が見えるようになります。

文を見て「SVOC」「関係詞」「分詞構文」「仮定法」「倒置」などを見抜く練習を徹底的におこない、長い文章も細分化しながら読み込めるようになることがゴールです。

大学受験英語の参考書のおすすめ3選

ここでは、大学受験英語におすすめの参考書を紹介します。

参考書は大量に必要なものではなく、少ない冊数でも深く勉強することが効率アップの秘訣となります。

①ポレポレ英文読解プロセス50

1文ごとの英文構造を丁寧に解説する英文解釈用の参考書で、難関大に出るような複雑な構文を厳選しています。

SVOCの把握、修飾関係、倒置・省略など文法知識を実践的に使う練習ができるので、構文理解を徹底的に深めたいときにおすすめです。

一冊に掲載されている例文量も多すぎないので、「似たような構文をひたすら何度も練習する」「わかっていることを何度も説明される」などのストレスがないのもポイント。

少ない例文数（50本）ながら深く英文を読む力が養えるよう、解説メインで精読できるような作りになっています。

基本の英語構文を理解した後、実践的な内容を自ら学び取りたいときに検討してみましょう。

②入門英文解釈の技術70

①で紹介した「ポレポレ英文読解プロセス50」より初級向けの参考書で、同じく英文解釈用として使えます。

ポレポレの前段階としても最適で、文法から構文へスムーズに移行できるのがポイントです。

文法と構文のつながりがよくわかる構成になっていること、文法の知識が長文読解にどう活きるかを学べることから、多くの受験生に支持されるようになりました。

高2・高3春から始めたい人におすすめで、各章のテーマごとに「構文を見抜く」練習を繰り返して、理解→音読→暗唱をセットで進めるトレーニングとしても活用できます。

③改訂新版 ドラゴン・イングリッシュ基本英文100

共通テストから国公立・上位私大向けの英作文参考書で、英作文でよく使う表現・文法事項が100文に凝縮されています。

1文1文に文法解説がついていて、使い方の事例も載っているのでアレンジしながら英作文を作れるのがポイントです。

英作文で使える「型」を身につけたい人や、暗記すればそのまま使える表現が欲しい人は、ぜひ活用してみましょう。

よく見る熟語を使った英作文も多く、単語・熟語暗記のついでに学習しやすいのもメリット。

音読・暗唱を繰り返し、「この表現はこう言う」と体に覚え込ませることで、自由英作文で即使える表現が身につきます。

大学受験英語の勉強法まとめ

志望校の選択肢がグッと広がりますので、少しずつ対策しておくのがよいでしょう。

単語・文法・長文の要素に分け、自分が今持っているスキルに合わせて日ごとにポイントを絞って対策することがおすすめです。

模試などを活用して定期的に自分のスキルを図りながら、確実な学力を身につけていきましょう！

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