「中学生の子どもが勉強しない…」という話は、中学生の子を持つ親の定番の悩みといえるでしょう。実際に、勉強しない中学生は多くいます。

勉強をしない中学生を放っておくことは危険があるかもしれません。

そこで本コラムでは、中学生が勉強しない理由と親がすべきことについて解説します。勉強しない理由を知ることで、それぞれに合わせた対策を行えます。中1・中2・中3それぞれの理由を解説していますので、子どもと照らし合わせて考えていきましょう。

中学生が勉強しないのはなぜ？学年を問わずよくある理由

まずは、中学生が勉強しない理由から確認していきましょう。学年を問わず、中学生が勉強しない理由の代表的なものとして、下記のような理由が挙げられます。

スマホやゲームなど楽しいものが周りにたくさんある

勉強が大好きという中学生はあまりいませんよね。現代はスマホやゲームなどお子さんの周りには興味をひく楽しいものがたくさんあるので、つい、そちらに手が伸びてしまいがち。

大切な勉強時間がどんどん奪われてしまいます。

対人関係の悩み

まず、対人関係の悩みです。友人関係や教師との関係がうまくいかない場合、学校生活全般に対する意欲が低下し、勉強に集中できなくなるかもしれません。特に思春期の中学生は、人間関係が学業にも大きな影響を与えます。

反抗期

次に、反抗期も大きな要因です。この時期、多くの中学生は親や教師などの大人に対して反発心を抱き、意図的に指示されたことに逆らう傾向があります。「勉強しなさい」と強く言われるほど、逆にやる気を失うかもしれません。

勉強する意味がわからない

勉強の意味がわからないという理由も、多くの中学生に共通しています。中学生にとって、勉強が将来どのように役立つのかが見えにくく、意欲が湧かないのです。

勉強に苦手意識がある

勉強に対する苦手意識も理由の1つ。過去に苦手科目でつまづいた経験があると、他の科目にも自信を失い、勉強全般が嫌いになることがよくあります。

勉強しても効果が実感できない

勉強しても効果が実感できないことも、やる気を削ぐ大きな原因です。テストの結果や成績にすぐには反映されないと、どんなに努力しても意味がないと感じてしまい、勉強を続ける意欲を失ってしまうかもしれません。

勉強のやり方がわからない

小学校のうちは授業を聞いていればなんとなく理解できていたし、テストで点も取れた、というお子さんでも、中学に入ると急に難しくなった授業内容に戸惑うことがあります。

そもそもどうやって勉強すればいいのかがわからない可能性もあります。

やり方がわからないと勉強しようにもできませんよね。

関連コラム：中学生の勉強法のキホン！勉強の仕方がわからない原因と5教科のポイントを紹介

【学年別】中学生が勉強しない理由

学年別では、下記のようなことが理由・原因になりがちです。

中１ 

中学1年生が勉強しない理由は、環境の変化や心理的な要因が関係していることが多いです。

燃え尽き症候群

まず、特に私立中学に進学した生徒に多いのが「燃え尽き症候群」。小学生時代、私立中学に合格するため、必死に勉強してきた子どもたちは、合格後一気にモチベーションをなくし、学習意欲が低下しやすくなります。

環境の変化

次に、中学に入学してからの環境の変化が、勉強への集中を妨げる原因となります。中学1年生は、新しいクラスメイトや先生、授業など学校生活の変化に適応しなければいけません。特に公立中学校では、これまでの小学校とは異なる校則や授業内容が増え、疲れを感じる子どもも多くいます。

友人関係の変化や悩み

また、友達関係の変化も重要なポイントです。小学校時代の友人とは違う生徒たちと新たな人間関係を築く必要があるため、勉強よりも友達との関係を優先する子どもが増えます。

特にこの時期は、自己アイデンティティの確立を意識し始める時期であるため、友人関係や社会的な立場を重視し、学業への関心が疎かになりやすいのです。

中２ 

中学2年生が勉強しない理由には、学校生活に慣れすぎてしまったことや部活動の忙しさが大きく影響しています。

学校生活に慣れてだらけてしまう

まず、学校生活に慣れてだらけてしまう現象は中学2年生に多いです。中学1年生の頃は、新しい環境に適応するためにある程度緊張感を持っていた生徒たちも、中学2年生になると慣れ始め、勉強以外のことに気を取られるようになります。

友達との関係も安定し、学業への意欲が低下しやすくなります。この「中だるみ」の時期に、勉強に対して真剣に取り組まなくなる子どもが多いのが現実です。

部活が忙しい

また、部活動が忙しくなることも勉強をしなくなる一因です。中学2年生になると、部活動で責任あるポジションに付くことが多くなり、試合や大会などのイベントも増えるでしょう。これにより、体力的にも精神的にも余裕がなくなり、勉強時間が削られてしまうケースがよく見られます。

中３ 

中学3年生は、受験関係で勉強のモチベーションが左右されがちです。

高校受験のプレッシャー

受験のプレッシャーが重くのしかかる中学3年生は多いです。プレッシャーに押しつぶされそうになると、現実から逃げ出したいという心理が働きます。その結果、勉強に手を付けず、無意識に避けてしまうことがあります。

周囲の期待や、勉強しなければいけないという強いプレッシャーが重なり、逆にやる気を失ってしまうのです。

受験を甘く見ている

一方で、受験を甘く見ている生徒もいます。中学2年生までの成績に自信を持ち、「自分なら大丈夫」という油断が生まれた結果、勉強に力を入れないのです。また、進路について真剣に考え始めるタイミングが遅れ、受験の重要性を実感していない生徒も少なくありません。

目標が見つからない

特に中高一貫校の場合、目標が見つからず、勉強の意義を見失ってしまう生徒もいます。特に進路が明確に決まっていない場合、勉強に対するモチベーションが低下し、やる気をなくす原因になります。

勉強しない中学生は放っておくことのリスク

勉強しない中学生を放っておくと、将来に悪影響を及ぼすリスクが高まります。

受験に失敗する可能性が高まる

まず、受験に失敗する可能性が増大します。その結果、進学や将来の選択肢が狭まってしまうかもしれません。日本の教育制度では、中学卒業後に進学する高校のレベルが将来の大学や職業の選択に大きく影響することが多いため、この時期の勉強の遅れは後々まで響きます。

親子間帰依に悪影響を及ぼす

また、勉強しないことで親子関係にも悪影響を与えることが考えられます。子どもが勉強しない状況を親が長期間放置すると、親子間の信頼関係が崩れ、親が期待する姿と現実のギャップが大きくなるかもしれません。

結果として、親が強く叱ったり、過度に干渉したりすることになり、子どもの反発やストレスが増え、家庭内でのコミュニケーションが悪化してしまいます。

高校での授業についていけなくなる

さらに、勉強の習慣がつかないまま進学すると、高校での授業についていけない可能性が高いです。そして勉強が嫌いになり、学業に対するモチベーションが低下するかもしれません。中学時代の学びが基礎となるため、この時期に勉強をしない習慣が定着すると、あとの修復が困難になります。

放っておくことで、子どもの将来の可能性を狭め、親子関係や学校生活に悪影響を及ぼすことを理解し、早めに対策を取ることが大切です。

親がすべきことは？

次に、勉強しない中学生に対する親の具体的な対策について解説します。勉強しない子に対しては、下記5つの対策を行いましょう。

• 学習環境を整える
• 親も勉強や努力する姿を見せる
• 志望校や将来について話す
• 勉強する目的や勉強の意義について一緒に考える
• 親から声かけ・問いかけをする

それぞれ詳しく解説していきます。

学習環境を整える

勉強しない中学生に対して親がまずできることは、学習環境を整えることです。家庭内での環境づくりが大切で、集中して勉強に取り組める場所を確保することが勉強を始める基本となります。

たとえば、静かな部屋や専用の学習スペースを設け、スマートフォンやゲームなどの誘惑を遠ざけることが効果的です。また、勉強に適した明るい照明や、リラックスできるいす・机の用意もしましょう。

また、家庭でのサポートが難しい場合、塾や家庭教師の利用を検討するのも一つの手です。専門的な指導を受けることで、学習習慣が定着しやすくなります。

最近では、オンラインコーチングサービスを利用して、効率的な勉強法をアドバイスしてもらうこともおすすめです。このように、親が積極的に環境を整え、外部のサポートを利用することで、子どもが前向きに勉強に取り組むためのきっかけを与えられます。

親も勉強や努力する姿を見せる

親自身が勉強や努力する姿を見せることも効果的です。子どもは親の行動をよく観察しています。親が一生懸命何かに取り組む姿を見せることで、子どもも自然と「努力は大切だ」と感じるようになります。

たとえば、資格取得のための勉強を続けたり、日々の仕事に前向きに取り組んだり、といったような姿を見せると、子どももその姿勢を見習うことが多いです。逆に親がだらけていると、子どもに何を言っても響かなくなるかもしれません。

自ら学び続ける姿勢を示すことで、勉強することの意義や努力を続けることの大切さを伝えられます。学ぶことがなければ読書だけでも効果的です。子どもが勉強している時間には、親もスマホやゲームをしないよう気をつけましょう。

志望校や将来について話す

勉強しない中学生に親ができることとして、志望校や将来について具体的に話すことが挙げられます。

中学生の多くは、将来の目標や進路がまだ漠然としており、勉強の重要性を実感できていないことがほとんどです。親が一緒に将来の選択肢や目指したい高校・職業について話すことで、子どもに具体的な目標を考えてもらえます。

たとえば、下記のような話をするとよいでしょう。

• 「この学校に行くと、こんな授業が受けられるよ」
• 「この学校は楽しい学校行事が多いよ」
• 「将来こんな仕事に就くためには、この分野を勉強しておくと有利だよ」

このような具体的な話をすることで、子どもに具体的な目標をもたせられます。また、将来の夢や興味に合わせた志望校を選ぶことで、勉強に対する意欲を引き出すことも可能です。

勉強する目的や勉強の意義について一緒に考える

子どもが勉強しない場合、勉強する目的や意義について一緒に考えることも大切です。多くの中学生は、勉強する理由を見失いがち。勉強が将来の選択肢を広げるための手段であることに気づいていません。

そこで、親が「勉強することで、自分がやりたいことを実現できるようになる」と説明することが大切です。また、具体的な成功体験や実例を交えて話すことで、モチベーションを高められます。

子ども自身が「何のために勉強するのか」を自ら考え、納得できる環境を作ることがポイントです。

親から声かけ・問いかけをする

親からの積極的な声かけ・問いかけをすることも効果的です。子どもが何に困っているのか、なぜ勉強に集中できないのかを理解するために、コミュニケーションを取ります。

この際、直接的に「勉強しなさい」と指示してはいけません。「今日はどんなことを学んだの？」や「何か困っていることはある？」といった質問を通して、子どもが自分の状況を話しやすい雰囲気を作りましょう。

また、子どもの気持ちを理解し、話をじっくり聞く姿勢を見せることも大切です。親の温かいサポートにより、子どもは自分のペースで学習に向き合えます。

効果的な声かけとNGな問いかけ・声かけ

勉強しない中学生に対して声かけをすることは大切です。しかし、声かけの仕方によっては、逆効果にもなり得ます。

そこで効果的な声かけ・NGな問いかけや声かけを解説していきます。それぞれ分けて解説していますのでご確認ください。

NGの声かけ

まずはNGな声かけです。NGな声かけは、主に下記の3つが挙げられます。

• ｢勉強しなさい！」など命令口調
• 誰かと比較
• 脅し口調

それぞれ自分が行っていないのか振り返りながら確認してください。

「勉強しなさい！」など命令口調

「勉強しなさい！」といった命令口調の声かけは、逆効果になることがほとんどです。

中学生は自立心が芽生え、親からの強制や指示に反発する時期でもあります。そのため、命令されると反抗心が生じ、逆に勉強意欲が低下するかもしれません。

さらに、「勉強しなさい」という言葉は具体性に欠け、子どもが何をすべきか明確に理解できないこともあります。代わりに、勉強の目的や目標を一緒に考え、本人が自発的に取り組めるような声かけが重要です。

誰かと比較

「◯◯さんはもっと勉強しているのに」など、他人と比較する声かけは、中学生にとって大きなストレスとなる可能性があります。比較されることで自己肯定感が下がり、自信を失ったり反発心が生まれたりすることが多いです。

また、他者の成功例を強調することで、本人にとっての達成感や目標が曖昧になり、やる気を削いでしまいます。親は、他人との比較ではなく、子ども自身の成長や努力に焦点を当てたポジティブな声かけを心がけることが重要です。

脅し口調

「勉強しないと将来困るぞ」など、脅し口調の声かけは逆効果になることが多いです。中学生は反抗期に入りやすく、脅しによる強制はかえって反発心を生み、さらに勉強への意欲を低下させる原因となります。

また、脅しでは勉強の本質的な意味や意義を理解させることができません。親は脅すのではなく、将来の可能性や目標について子ども自身が考えられるような対話を心がけることが大切です。

効果的な声かけ

次に、効果的な声かけについて解説します。効果的な声かけは下記のとおりです。

• 勉強をやっていることを褒める
• 何の勉強をするか子どもに決めさせる
• 具体的な過程を褒める

ぜひ真似してみてください。

勉強をやっていることを褒める

中学生が勉強している姿を見たら、たとえ宿題だけであっても「ちゃんと勉強しているね」などと褒めましょう。勉強へのモチベーションを高めるには、ポジティブなフィードバックが効果的です。

勉強そのものに対して承認や感謝を伝えることで、子どもは「やれば評価される」と感じ、自主的に取り組む意欲が湧きます。特に反抗期の子どもには、細かな進歩を認めることで、勉強への意識が少しずつ変わります。

何の勉強をするか子どもに決めさせる

勉強しない中学生に対して、何の勉強をするかを子ども自身に決めさせることは大切です。「今日は何を勉強したい？」と問いかけ、自主性を尊重することで、勉強への抵抗感が減り、意欲を高められます。

自分で決めたことに対しては責任感が生まれやすいです。親が全てを指示するよりも、子ども自身に選択肢を与えることが学習習慣の定着につながります。

具体的な過程を褒める

勉強しない中学生に対しては、具体的な過程を褒めることが効果的です。結果だけでなく、「今日は30分集中できたね」「苦手な問題にも取り組めたね」といった具体的な行動や努力を認めてあげましょう。

具体的な過程を褒めることで、子どもは自信を持ちやすくなります。そして、勉強そのものに対する肯定感が育ち、次のステップへとつながるモチベーションを引き出せます。

アガルート学習コーチングで「勉強しない」を解決！

いかがだったでしょうか。今回は中学生が勉強しない理由や親がすべきことについて解説しました。

中学生が勉強しない理由はさまざま。しかし、勉強しない中学生を放っておくと、さまざまな悪影響が生まれます。また、「勉強しなさい」など、強要することも逆効果です。

勉強しない中学生には、学習環境を整え、効果的な声かけをする必要があります。とはいえ、家事や仕事などで忙しい親がすべて行うことは簡単ではありません。

そんな方には、アガルート学習コーチングがおすすめです。アガルート学習コーチングでは、プロコーチが毎日学習進捗を管理し、学習意欲を高める声かけを実践しています。勉強習慣を身につける指導をしているので、勉強しないことに悩んでいるご家庭はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。