和裁士とは？平均年収・仕事内容・転職方法を解説！なるにはどうすればいい？

和裁士とは？

和裁士は、着物の仕立てを職業としている専門家です。主な仕事は、染め上げられた反物を着物に仕立て上げることであり、日本の伝統文化を継承する重要な役割を担っています。

和裁士は、さまざまな縫製に関する高度な知識と技術を必要とし、成人式の振袖や浴衣など、和服のファッション性が重要視される現代において、そのニーズは高まっています。

和裁士の平均年収は？

和裁士の年収に関する統計データはありませんが、一般的には200〜300万円程度とされているようです。 和裁士の平均年収は、勤務形態や技術レベル、経験によって大きく異なります。

技術が高く多くの着物を手掛ける人の年収は高くなりますが、ボーナスが出る和裁所はほとんどないようです。また、フリーランスの和裁士は、仕立てる技術とスピード、受注量、季節などによって収入が大幅に変動するでしょう。

十分な受注ができない場合、年収が平均を大きく下回る和裁士も珍しくありません。さらに、和裁士の仕事は季節によって収入が左右され、夏物の単衣は安く、冬物の袷の方が仕立て代が高くなります。

また、和服業界自体が縮小傾向にあるため、和裁士のニーズが減っていることも収入に影響しています。総じて、和裁士の年収は比較的低く、特に新人の場合はさらに低い水準からのスタートとなることが多いです。

フリーランスの場合は、仕事量や技術によって収入が大きく変動するため、安定した収入を得ることは難しいと言えます。

和裁士の仕事内容は？

和裁士の主な仕事は、呉服店や個人顧客からの依頼を受け、和服の仕立てやお直しを行うことです。着物の仕立てには、着用する方の体型や用途に合わせた採寸、柄合わせ、生地の裁断、縫製などが含まれます。

これらの工程のほとんどは、職人による手縫いで行われ、和裁士の確かな技術が求められます。和裁士は、和服の仕立てだけでなく、古い着物の仕立て直しにより世代を超えて長く着用できるようにするのも仕事です。

また、着物の活用方法も見直されており、例えば、お母様の振袖をお嬢様が着用する「ママ振袖」のように、家族間で着物を受け継ぐことが増えています。

和裁士に向いている人は？

和裁士に向いている人は、細かい作業を丁寧にこなすことができ、長時間ひとりで集中して作業を進めることが苦にならない人です。

手先が器用で、細かい目で生地を縫い合わせるような緻密な作業を繰り返すことに飽きず、責任感を持って取り組まなければいけません。また、和裁士はお客様から預かった反物を和服に仕上げるため失敗が許されない職業です。

寸法直しやお直しの依頼においても、お客様の思い入れのある和服を扱うため高い責任感が求められます。

さらに、和裁士の収入は低い傾向にあるため、「和裁の仕事が好きだから」「やりがいを感じるから」という理由で仕事を続けることができる人が、長く和裁士を続けられる人と言えるでしょう。

和服の使い道や楽しみ方にも考えを巡らせ、一人一人に合った仕立てをすることができることが重要であり、和服をたしなむ人に対して適切な判断や振る舞いができることも、この仕事の重要なポイントです。

和裁士に将来性はある？需要は？

和裁士の需要は減少傾向にありますが、高齢化に伴う技術者の減少と、和服文化の再評価により、新しい需要が生まれる可能性もあります。

和裁士として生計を立てていくためには、伝統技術を継承しつつ、時代に即した新しい取り組みや付加価値を提供することが重要です。

和裁士の現状は、和服を着る人が減少しているため、新規の仕立てやお直しの需要が増えているとは言えません。しかし、和服がおしゃれ着として見直されている傾向があり、海外でも日本の着物文化が注目を集めています。

ただし、和服の仕立てを依頼する人は限られており、現在はレンタルが主流です。また、海外工場で仕立てられた安い既製品も出回っており、和裁士の現状は厳しいと言えます。

和裁士の需要に関しては、高齢で技術のある和裁士が退職していく中で、若手の和裁士が求められています。

しかし、和裁の仕事だけで十分な収入を得ることができるのは、大きな和裁所に勤めているか、呉服屋やデパートとのコネクションがある一部の和裁士に限られています。

将来性については、厳しい競争の中で、仕立てが早くて丁寧な人や難しいお直しができる技術を持つ人が求められるようになると考えられるでしょう。

また、伝統的な和服にはない装飾類や若者が好む斬新なデザインの和服を仕立てられる柔軟性やオリジナリティも求められます。和裁だけでなく、着付けの資格を取得し、着付け教室や出張着付けなどを副業にすることも大切です。

和裁士になるには？

和裁士になるには、まず服飾系の専門学校、短大、大学で、着物の製作に必要な独自の仕立て技術や、着物に関する幅広い作業を学ぶことが一般的です。

学んだ後は、反物店や呉服店に就職し、実務経験を積みながら技術を磨いていきます。和裁士としてのキャリアを積むためには、国家資格である「和裁技能士」の取得が有利です。

この資格は、和裁の技術と知識を証明するもので、就職やキャリアアップに役立ちます。和裁士の働き方は多様で、和裁所や呉服店での勤務の他に、フリーランスとして活動する道もあります。

フリーランスの場合は、高い技術と信頼を勝ち取ることが重要となるでしょう。和裁士は、着物の需要が低下している現代でも、新しい発想でアレンジされた着物を作ることで、活路を見出すことができます。

伝統文化が一度途絶えると簡単には復活させられないため、新しい発想を取り入れつつ、和裁士として着物文化を支え続けることが求められています。

和裁士に転職するには？未経験でもなれる？

未経験から和裁士に転職するには、まず服飾関連の大学、短大、専門学校で和裁の基本的な知識と技術を身につけることが一般的です。

これらの教育機関では、和裁の技術だけでなく、関連する広範な知識も学ぶことができます。また、職業訓練施設で基礎技能を学んだ後に就職する方法や、和裁所や和裁製作所、仕立て屋に見習いとして就職し、現場で直接技術を習得する方法もあります。

和裁士に転職するためには、国家資格である「和裁技能士」の取得も有効です。

和裁士になるためには、手先の器用さや細かな作業を苦にしない性質が求められ、基本的には一人仕事であるため自分でスケジュールを管理しながら働く能力も重要となるでしょう。

未経験から和裁士になるためには、これらの点を考慮しながら、自分に合った学習方法を選ばなければいけません。