今回は、「建物表題部変更登記」増築による床面積の変更業務の流れを紹介します。

「登記していない増築を、建物の売却を考えているため登記記録と現状を合わせたい」というご依頼です。

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「建物表題部変更登記」増築による床面積変更の流れ

お客様から増築について登記依頼の相談がありました。

「昭和47年に終わっている増築の登記をしていないままだが、建物の売却を考えているため登記記録と現状を合わせる必要がある」

とのご事情です。

おおまかな一連の流れとしては下記の通りです。

  1. 見積書作成・登記依頼の受託
  2. 必要資料を入手
  3. 資料調査
  4. 現場調査
  5. 図面作成
  6. 登記必要書類の作成・手配
  7. 登記申請
  8. 登記完了後納品
  9. 領収証作成・送付

1. 見積書作成・登記依頼の受託

案件の内容がわかる資料を入手し見積書を作成します。

完了までの期間等も含め、お客様にご了承いただけたら登記申請の依頼を受託します。

2. 必要資料を入手

見積書作成の段階で揃えている資料の他に、必要な書類・各種図面を入手します。

本件では「公図・地積測量図・土地登記事項・建物図面・建物登記事項」のほかに、

  • 増築時の確認済証
  • 確認申請書
  • 各種図面類
  • 検査済証
  • 工事完了引渡証明書
  • 工事請負契約書
  • 工事代金の領収書
  • 固定資産税評価証明書

などの内、手元にあるものを送付するようお客様に依頼します。

3. 資料調査

各種資料の調査です。

まずは当該地を所在地番とする閉鎖されていない建物(前回紹介した「幽霊建物」です)の登記記録が無いかを確認。

また、第三者の権利の有無にも注意します。

登記記録上は1階建の建物に2階部分を増築したとのこと。

図面から1階・2階の形状や建物内部のチェック項目を拾い出し、備付けの建物図面と比較します。

1階の形状が違えば1階も増築または一部取壊しをしている可能性があります。

図面を見ればおおよそ見当はつきますが、現場調査で増築部分について、構造上・利用上の独立性を確認する必要もあります。

大事な点は、増築部分の所有権が誰にあるかを確認することです。

本件は登記名義人が増築部分の所有権を取得していたので問題はありませんでした。

さらっと書きましたが実は重要なポイントです。後程詳細を記します。

4. 現場調査

まずは公図・地籍測量図で当該地を、備付けの建物図面で1階の形状と離れの寸法を確認。

増築が昭和47年と古いので、他に増築や取り壊しがないかどうかを図面資料と照らし合わせて確認します。

外観・1階内部の写真を撮り、増築の2階部分の構造上・利用上の独立性の有無を確認し写真を撮ります。

屋根の合金メッキ鋼板ぶきも確認できました。

5. 図面作成

調査結果をもとに建物図面・各階平面図を作成し、床面積を確定します。

6. 登記必要書類の作成・手配

委任状・固定資産税の評価証明書・申請人の身分証明書を手配します。

7. 登記申請

建物表題部変更登記(床面積増加)の添付書類は「建・各・所・代」です。

  • 建物図面
  • 各階平面図
  • 増築部分の所有権証明書(確認通知書・各種図面類・固定資産税評価証明書)
  • 委任状
  • 調査報告書

を揃えオンライン申請。添付書類は郵送します。

8. 登記完了後納品

登記完了後、「登記完了証」「建物図面・各階平面図(職印押印)」「請求書」を納品し、借りていた全ての資料を返却します。

9. 領収証作成・送付

費用の入金確認後「領収証」を作成・送付します。

増築や一部取壊しといった床面積変更時の注意点は、

  1. 「他に増築や取り壊しが無いか」
  2. 「増築した部分に利用上・構造上の独立性はあるか」
  3. 「増築した部分の『所有者』は誰か」

を確認することです。

1.2.は資料・図面及び現場調査により確認できます。

大事なのは3.『所有者』の調査・確認です。

建物の新築・増築において、『所有者』とは「代金・費用を支払った者」を指します。

上記の依頼については所有者が増築費用を支払っていたので、所有者の調査・確認はスムーズに終わりました。

法定添付書類である所有権証明書として、

  • 「確認済証」
  • 「検査済証」
  • 「工事完了引渡証明書」
  • 「工事代金の領収書」
  • 「工事請負契約書」

などを調査・添付しますが、工事時期が古いと「確認済証」や「検査済証」などは無い場合が多いです。

そのため、増築工事の依頼者が誰なのか、工事費用を支払った者が誰なのかを証明する「工事完了引渡証明書」「工事代金の領収書」「工事請負契約書」などがより重要となります。

また、増築部分の『所有者』と「登記の申請人」が異なる場合は特に注意が必要ですので、お客様にその点を正確に理解していただけるよう丁寧な説明が求められます。


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某有資格者による業務忘備録

2019年の12月からアガルート講座の2期生として中山先生の薫陶を受け、2020年の土地家屋調査士試験に合格しました。

現在、関東某所の調査士事務所に所属中で、主に建物の登記を担当しております。

諸般の事情により名を明かすことができませんが、これまで経験した建物の登記申請業務について備忘録として発信していく予定です。

参考にしていただける部分があれば幸いです。あくまで弊社の仕事の仕方ですので各事務所によって方法が異なる部分もあるかと思いますが、その辺りはご容赦頂きたく存じます。

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